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スノボ男子ビッグエアの技名が難しい!数字の意味と「2340」がヤバすぎる理由

冬季オリンピックX Gamesなどで、スノーボード男子ビッグエアを観戦していると、実況や解説から「バックサイド・クワッドコーク1980(ナインティーン・エイティ)」といった、まるで呪文のような言葉が飛び交います。
特に「1800」や「2160」といった大きな数字が何を意味しているのか、なぜこれほどまでに熱狂を呼んでいるのか、初心者の方には少し分かりづらいかもしれません。

ビッグエアは、巨大なキッカー(ジャンプ台)から飛び出し、空中での回転の難易度、美しさ、そして着地の正確さを競う競技です。
近年の進化は凄まじく、かつては不可能と言われた「6回転(2160)」はおろか、さらにその先の世界へと突入しています。

この記事では、スノーボード観戦が10倍楽しくなるよう、複雑な技名の数字の仕組みから、日本が誇る天才・荻原大翔選手が狙う異次元の技「2340」の凄さまでを徹底解説します。
これを読めば、次に画面越しに選手が飛び出したとき、彼らがどれほど恐ろしいことに挑戦しているのかが手に取るように分かるはずです。

 

スノボの技名「1800」「1980」って何?数字の正体は「回転数」

スノーボードの技名を聞いて、まず誰もが戸惑うのが末尾に付く大きな数字です。実はこの数字、非常にシンプルな法則に基づいています。
結論から言うと、この数字は「空中で体が合計何回(何度)回転したか」という回転角度を表しています。

数学や幾何学で習う通り、円一周は360度です。スノーボードの世界でもこの「360」を基準に、回転数が増えるごとに数字が積み上がっていく仕組みになっています。

1800=5回転、1980=5回転半…計算式自体はシンプル

技名に含まれる数字を「360」で割ってみると、その選手が空中で何回転したのかが即座に判明します。
主要な回転数と数字の対応を整理すると、以下のようになります。

  • 1080(テンエイティ:360 × 3 = 3回転

  • 1260(トゥエルブシックスティ):360 × 3.5 = 3.5回転

  • 1440(フォーティーンフォーティ):360 × 4 = 4回転

  • 1620(シックスティーントゥエンティ):360 × 4.5 = 4.5回転

  • 1800(エイティーンハンドレッド:360 × 5 = 5回転

  • 1980(ナインティーンエイティ):360 × 5.5 = 5.5回転

このように、数字が大きければ大きいほど回転数が多い、つまり難易度が高いことを示しています。
近年の男子ビッグエアのトップ戦線では「1800」や「1980」が勝負のスタートラインとなっており、世界トップクラスの選手たちは、わずか数秒の滞空時間の間にこれだけの回転を詰め込んでいるのです。

なぜ「900」や「1260」など中途半端な数字になるのか

初めて観戦する方が疑問に思うのが、「なぜ1000や1500のようなキリの良い数字ではないのか」という点でしょう。
これは先述の通り、円一周(360度)をベースにしているためです。

特に「900(ナインハンドレッド)」や「1260(トゥエルブ)」といった「◯◯60」という中途半端に見える数字は、「半回転(180度)」が加わっていることを意味します。
スノーボードには「レギュラースタンス(左足前)」と「グーフィースタンス(右足前)」がありますが、半回転が入るということは、「前を向いて踏み切ったのに、着地は後ろ向き(スイッチ)になる」
、あるいはその逆であることを示しています。

進行方向に対して背中を向けた状態で着地するのは、非常に視認性が悪くリスクが高い行為です。
そのため、単純な回転数だけでなく、「進行方向に対してどう着地するか」という要素が、これらの中途半端な数字(=難易度の証)に現れているのです。

 

荻原大翔が狙う「2340」は異次元!人類未踏の6回転半とは?

現在、世界のスノーボード界で最も注目を集めている数字が「2340」です。この数字は、現在の競技シーンにおける「最終到達点」の一つと目されています。

これを先ほどの計算式に当てはめると、360 × 6.5 = 6.5回転(6回転と180度)となります。
ほんの数年前まで、世界で初めて「1620(4.5回転)」が成功した際に「人類の限界だ」と言われていたことを考えると、この「2340」がいかに常軌を逸した領域であるかが理解できるでしょう。

ギネス記録保持者・荻原選手の武器「バックサイド2340」

この未知の領域を切り拓いているのが、日本の若き才能、荻原大翔(おぎわら ひろと)選手です。
彼は2022年に練習拠点であるスノーボード施設において、世界で初めて「バックサイド・クワッドコーク2340」を成功させ、ギネス世界記録にも認定されました。

「バックサイド」とは、背中の方向に回転し始めるジャンプの入り方を指し、「クワッドコーク」とは、軸をずらしながら縦に4回回る(3D回転)ことを意味します。
つまり、横に6回転半しながら、縦にも4回振り回されるという、三半規管が麻痺しそうなほど複雑な動きを同時に行っているのです。

荻原選手の強みは、これほど凄まじい回転をしながらも、空中で自分の位置を正確に把握する「空中感覚」の鋭さにあります。
実戦の大会でこの「2340」を完璧に繰り出し、着地まで決めることができれば、その時点で優勝候補筆頭となるのは間違いありません。

滞空時間はわずか数秒!その間に何が起きている?

ビッグエアのキッカー(ジャンプ台)から飛び出し、着地するまでの滞空時間は、およそ2.5秒から3秒程度です。
この「まばたき数回分」の短い時間に、2340度(6回転半)を詰め込む計算になります。

単純計算で、1秒間に約2回転以上のスピードで回らなければなりません。
選手たちは踏み切りの瞬間に、全身のバネを使って凄まじい回転エネルギーを生み出します。
空中では、体を小さく丸めることで回転速度を上げ(物理学でいう慣性モーメントの減少)、着地寸前で体を開いてブレーキをかけます。

この「2340」の凄まじさは、単なる回転数だけではありません。
回転が速すぎれば、今自分がどこにいるのか、雪面がどこにあるのかが視認できなくなります。
その極限状態の中で、寸分狂わぬタイミングで板を雪面に合わせる技術は、もはや神業と言っても過言ではありません。

 

これだけ覚えれば通!決勝で注目すべき「3つの専門用語」

ビッグエアの採点は、単に回転数が多いだけで決まるわけではありません。
ジャッジは「難易度(Difficulty)」「実行力(Execution)」「振幅(Amplitude)」「着地(Landing)」などを総合的に評価します。

テレビ解説でよく耳にする以下の3つの用語を理解しておくと、なぜ回転数が少ない選手が勝ったり、逆に高回転の選手が点数を伸ばせなかったりするのかがクリアに見えてきます。

「スイッチ」は利き足と逆で滑る超絶技巧

スノーボードには、普段自分が滑りやすい「メインスタンス」があります。これに対し、あえて逆の足(利き足ではない方)を前にして滑ることを「スイッチ」と呼びます。

野球でいうスイッチヒッターのようなものですが、スノーボードにおけるスイッチはより困難です。
時速60km〜80kmという猛スピードで巨大なジャンプ台にアプローチする際、逆足で踏み切ることは、我々が普段階段を逆の足から登るのとは比較にならないほどの恐怖と技術を伴います。

状況によっては、後者の方が「技術的に高度」と見なされ、高いスコアが出ることもあります。
「今、この選手は逆向きで滑り始めたぞ」と気づけるようになれば、あなたも立派なスノボ通です。

「グラブ(板を掴む)」の種類で点数が変わる理由

回転中、選手がスノーボードの板を手で掴んでいるのに気づくはずです。これを「グラブ」と言います。実は、ただ回るよりも「板を掴みながら回る」方がはるかに難しいのです。

グラブには多くの種類があり、掴む場所によって難易度が変わります。

  • インディ:後ろの手でつま先側のエッジを掴む(基本)

  • ミュート:前の手でつま先側のエッジを掴む

  • メランコリー:前の手でかかと側のエッジを掴む

さらに重要なのは、「いつ、どれだけ長く掴んでいたか」です。回転の初期から着地直前までしっかり板を掴み、空中でポーズを固定(スタイルの表現)できている選手は、非常に高い評価を得ます。逆に、回転に必死でグラブが短かったり、手が板に届いていなかったり(タッチ若しくはノングラブ)すると、大幅な減点対象となります。

着地の「クリーンさ」が明暗を分ける

ビッグエアにおいて、最もドラマが生まれるのが着地の瞬間です。どんなに空中で「2340」という神技を披露しても、着地で手が雪面に触れたり(ハンドタッチ)、お尻をついてしまえば、スコアは絶望的に低くなります。

ジャッジが重視するのは「クリーンな着地」です。

  1. 板が進行方向に対して真っ直ぐ刺さっているか

  2. 上体が一切ぶれずに、ピタリと止まっているか

  3. 着地後にスムーズに滑り抜けているか

特に高回転になればなるほど、着地時の衝撃と遠心力は凄まじいものになります。
それを強靭な体幹でねじ伏せ、まるで最初から雪の上にいたかのように静かに着地する姿こそ、ビッグエアの真の美しさと言えるでしょう。

 

 

まとめ

スノーボード男子ビッグエアの技名に付随する「1800」「1980」「2340」といった数字は、すべて空中での回転角度を示しています。
360で割ることで「何回転しているか」が分かり、その数字が大きくなるほど、選手たちは重力と物理法則の限界に挑んでいることになります。

特に日本代表の荻原大翔選手が挑む「2340(6回転半)」は、現代スノーボードの最前線であり、成功すれば歴史が塗り替わる瞬間を目撃することになるでしょう。

今度ビッグエアを観戦する際は、以下のポイントをチェックしてみてください。

  • 数字(回転数):360の倍数で、どれだけ回っているか?

  • スイッチ:あえて難しい逆足でアプローチしているか?

  • グラブと着地:板をしっかり掴み、ピタリと止まったか?

これらの要素を理解することで、ただ「凄い」と感じるだけでなく、選手たちが命がけで表現している「技術」と「スタイル」の深淵に触れることができるはずです。
雪上のアーティストたちが描く放物線の先に、どのような結末が待っているのか。
ぜひ注目して応援しましょう。

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